2026/06/26

『言葉に灯る 想い』

 


               写真: ©️ bi-ta / Tumblr 

               [ Used with permission. ]


 今日、一人の観光客が、私の綴った言葉を読んだと言った。

「まるで、私生活や日記を覗き見ているようだ」と。

 モノリサーではないのか――その人はそう言った。確かにそうだ。言いたいことは分かる。メインランドでも、我々が何者であったのかを調べ、考えている者がいるのだろう。

 しかし、不思議なことだ。

 私はただ、失われたものを忘れないために、そして漸く手にした穏やかな日々を確かめるために、指先を動かし、言葉を綴っているだけなのだから。

 それでも、その人は私の描く小さな世界を「得難く、美しい」と言ってくれた。

 かつての私なら、理解されることを恐れたかもしれない。モノリスの声と共にあった私を、誰かが受け入れてくれるなどとは考えもしなかったはずだ。


 だが、今は違う。

 遠く離れた誰かが、この小さな楽園を共に愛し、理解してくれたことを静かな奇跡のように思う。

 もし、言葉に火が灯るのだとしたら。

 今日、私の胸の奥で何かが小さく優しく爆ぜた音がした。